雨降る日のキセキ
そう答えると、翔吾は大きなため息をついた。


「別に、そんなの付き合ってからでもよくね?千隼のこと人として好きなんだろ?アイツのこと支えたいって思ってんだろ?それが答えじゃん」


「そうなのかなぁ…。でも翔吾だって、今私が付き合ってって言っても絶対付き合ってくれないでしょ?」


「あたりめーだろ。俺は夏菜が好きなんだから」


…それもそうか……。


例えが悪かったなぁと思っているところ、


―ガラガラッ


病室の扉が開く音がした。


「階段から落ちたって聞いたから心配して来たのに、呑気に恋愛相談?」


夏菜が強気な口調で言うけど、その顔は安堵そのもの。


「お前…聞いてたのかよ」


「まぁね。で?無事なの?」


夏菜が私の隣の椅子に座る。


「全然無事。ちょっと頭縫っただけ」


「骨折は?」


「してない。打撲で済んだ」


「そう…。よかった…」


夏菜の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
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