雨降る日のキセキ

失った輝き


翌日、練習前に臨時ミーティングが行われた。


話題はキャプテン翔吾のこと。


グラウンドの隅に集まり、監督の話に耳を傾ける皆。


その顔はどんよりと暗い。


「翔吾の怪我は奇跡的に重傷には至らなかった。とはいえ全治は1ヶ月。リハビリを考えると復帰はもっとかかる。当然、大会には出られない」


翔吾抜きでどうやって勝てるというんだろう。


攻守の要であり精神的支柱でもある翔吾。


部員からの信頼は誰よりも厚い。


そんな翔吾の怪我。


初戦まで1週間もない


重苦しい雰囲気になる気持ちはよくわかる。


「翔吾は暗くなることを望んでない。切り替えていけよ。わかったな?」


誰も返事をしなかった。


まるでお通夜のような空気。


「…アイツは突き落とされたんすよ」


同じキャッチャーの坂本くんが言った。
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