雨降る日のキセキ
千隼くんが私を避けても、私は避けちゃだめだ。


夏菜に背中を押してもらい、二人で廊下に出る。


廊下の空気は温く、生暖かい。


そんな空気をスゥっと吸ってから話を始める。


「……試合の日、ひどい事言ってごめんね」


エースとして情けない。


そんな言葉投げつけるべきじゃなかった。


「別にいいよ。事実だから」


「…じゃあどうして私を避けるの…?」


「………ごめん」


“ごめん”


その謝罪はどういう意味…?


「…私、何かした…?」


「……ごめん」


…なんで…?


「どうして急に変わっちゃったの…っ?」


熱心に取り組んでいた野球を捨て、態度もガラリと変わった。  


何があったっていうの…?
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