雨降る日のキセキ
第4章
バラバラに
あれから早いようで、もう新年を迎え、3学期が始まった。
あの日以来、私と千隼くんは一言も会話をすることもなく、目も合わせることもなかった。
私が話しかけようとしても、千隼くんはいつも私から逃げる。
その度に傷つくのが嫌だったから、いつしか私も千隼くんを避けるようになって。
気がついたら深い深い溝ができていたんだ。
それは翔吾と千隼くんの間でも同じで、二人が目を合わせる瞬間を一度も見ていない。
練習に来なくなった千隼くんに失望したんだと思う。
翔吾は復帰してから圧倒的な練習量をこなし、怪我前以上に動けるようになった。
でも、翔吾だってわかってる。
このチームには千隼くんが必要だって。
千隼くんがいなかったら甲子園は目指せないって。
だから…復帰してからの翔吾も別人だった。
練習はちゃんとしていても、心のどこかで諦めている。
このチームじゃ勝てない。
そう思っているのが透けて見えるんだ。