雨降る日のキセキ
「…湯浅さんが1番の理解者じゃないんですか?なのになんで…」


「知らねぇよ。アイツは野球を捨てた。理由がなんであれそれは事実だろ。俺は許さない」


翔吾……。


夏の喧嘩とは違う明らかな確執。


あの夏の喧嘩はお互いのことを思っての喧嘩だった。


でも今回は違う。


「湯浅さんがそうやって突っ撥ねるからダメなんじゃないんですか?もっと理解しようとして寄り添えば望月さんだって―」


「寄り添う?はっ、バカじゃねぇの。アイツは何も言わずに急に野球を辞めた。そんな野郎に寄り添うほど暇じゃねぇんだよ」


翔吾が真子ちゃんを睨みつける。


鋭い眼光に刺されても、真子ちゃんは一歩も引かなかった。


「望月さんなしで甲子園に行けると思ってるんですか?それともう甲子園は諦めたくんですか?皆の夢だったのに?あんなに頑張ってきたのに?」


答えない翔吾に対し、質問を次々とぶつける。


あぁ…この子は本当に真っ直ぐで素直な子なんだ。


純粋に皆の夢だった甲子園を目指している。


チームを再建できると信じている。
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