雨降る日のキセキ
そう決意したはいいものの、現状は何も変わらなかった。
だけど、そんな中でも小さな変化はあった。
あんなに避けていた翔吾が、千隼くんに話しかけに行ったんだ。
どんな話をしたのかは分からない。
だけど、戻ってきた翔吾の顔は清々しかった。
「千隼くん、なんて言ってた?」
もしかしたら千隼くんが戻ってくるかもしれない。
そう思わせるスッキリした表情だ。
「野球をやりたい気分じゃないだとよ。逆にスッキリしたわ。あんなヤツのために悩んでたのがバカバカしい。お前も諦めるんだな」
鼻で笑ってドカッと椅子に座る。
その態度がショックだった。
千隼くんが戻る気がないことも、翔吾が諦めきった態度をとることも。
野球部の終焉を感じて悲しかった。
「…理由は聞かなかったの?」
なんで変わってしまったの…?
初戦で敗退したから…?