雨降る日のキセキ
「聞いたけど、言いたくないの一点張り。アイツの秘密主義にはうんざりだわ。付き合ってらんねぇ」


「そっか……。もう…終わりなのかな…」


バラバラになった皆が再び団結することはもうないのかな…。


「終わりだろ。アイツの帰りを待つぐらいなら堀田や1年生が千隼並のピッチングするのを待ったほうが早いね」


…そんなの……。


言いたくないけど、無謀だって言ってるようなものじゃない…。


「翔吾はもう…諦めちゃったの…?」


「じゃ逆に聞くけど、千隼以外のピッチャーが光西や鶴海を抑えれると思う?」


……なんでそんなこと言うの…。


「…思わねぇんだろ?」


「…千隼くん抜きで甲子園に行ってやるっていう負けん気はないの?いつもの翔吾ならきっとそう言ってるよ」


「話反らすなよ」


……。


翔吾の言う通りだ。


あんな強豪校を抑えられるのは千隼くんしかいない。


「…私は諦めたくないよ」


「でも無理じゃん。野手がいくら頑張ったって、投手の歯が立たないんじゃ話にならない」


「投手が10点取られたんなら15点取ればいいじゃない。諦めないでよ…」


「お前は能天気で羨ましいな」


翔吾がため息混じりに呟いてから、ヘッドホンをつけ私の声を遮断してしまった。


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