雨降る日のキセキ
それでも届けなくちゃならない。


伝えなくちゃいけない想いがある。


「翔吾、ずっと言ってたよ。千隼がいなかったら勝てないって。千隼なしでどうやって勝つんだって。翔吾とどんな話したのか分かんないけど、翔吾の本心ってそれなんじゃないかな」


「…だからなんだよ」


「…分からないの?戻ってきてほしいって話だよ。チームには千隼くんが必要なの。一切私からは話しかけないって約束するから、戻ってきてよ。それならいいでしょ?」


本当はそんな約束したくないけど、戻ってきてくれるならそれすらも受け入れる。


それくらい私は千隼くんを諦められない。


「北野のエースは千隼くんだよ」


その事実は変わらない。


どれだけ周りが頑張っても、そう簡単に千隼くんの壁は越えられやしない。


それだけ圧倒的な存在だった。


そして、北野の救世主だった。
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