雨降る日のキセキ
その時だった。


突然目の前の赤坂くんが吹っ飛んで、ボールを収納しているダンボールに突っ込んでいったんだ。


野球ボールがボトボトと転がり出てくる。


「てめぇ俺らの大事なマネに何してんだ!!」


赤坂くんを投げ飛ばし、その胸ぐらを掴んでいるのは翔吾だった。


「翔吾……?」


「お前、どこまで腐ってんだよ!?あぁ!?」


ゴッという鈍い音と同時にその場に倒れ込む赤坂くん。


「最低だなお前。許せねぇわ」


翔吾はそう吐き捨ててから、私のそばにしゃがみこむ。


「大丈夫か?とりあえずここから出んぞ」


翔吾に手を引かれ、倉庫を出る。


赤坂くんは急所をやられたのか、追いかけてくることはなかった。


その瞬間、どっと安堵に包まれ身体中の力が抜けてしまった。
< 221 / 336 >

この作品をシェア

pagetop