雨降る日のキセキ
先生に話したらきっと野球部は…っ。


千隼くんや翔吾の夢は叶わない…っ。


何のためにキツイ練習をこなしてきたの…?


甲子園に行くためだよね…?


それなのに、私一人の都合でみんなの夢を壊せないよ…っ。


「水原さん?大丈夫?」


ティッシュを渡されてはじめて、自分が泣いていることを知った。


先生の温かい手で背中を撫でられ、堰を切ったように我慢していた涙が溢れ出す。


「先生…っ、私……っ」  


「ゆっくりで大丈夫だよ」


とん…とん…とん…と心地の良いリズムで背中を撫でてくれる。


その優しさが逆に私の涙腺を刺激した。


すべてを吐き出したい。


もう赤坂くんから…部活から逃げたい。


「もう嫌なんです…っ。部活がツラくてツラくてたまらないんです…っっ」


「そっかそっか…」


野球部を守らなきゃいけない。


でも…っ。


心が蝕まれていく。


赤坂くんの顔を見るたびに、また何かされるんじゃないかと怯える毎日がつらい。
< 235 / 336 >

この作品をシェア

pagetop