雨降る日のキセキ



最初に引っ掛かったのは、夏休み明け公園で話をした時だった。


あの日千紘は、初恋の相手を忘れる決意をしたと語ってくれた。


けど…。


“ここね、朝陽くんとの想い出の公園なの”


“朝陽くんって?”


“私の初恋の人”


このときは、ただの偶然だと思っていた。


千紘を長年苦しめていた初恋の相手が、俺の兄貴だっただなんて。


思いたくもなかったんだ。


引っ掛かりはしたけど、これは偶然だと必死に言い聞かせた。


信じたくなかったから。


兄貴を殺したのは俺だから。


千紘を苦しめていた元凶が俺だなんて現実、受け入れたくなかったから。


でも。


翔吾が階段から突き落とされた日、疑念が確信へと変わった。
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