雨降る日のキセキ
頭を鈍器で殴られた衝撃だった。
けど、それだけでは終わらなかった。
翌日、安藤に翔吾のことを問いただしに行った。
本当に安藤が突き落としたのか、と。
“そうよ。私が突き落としたの”
“…なんでだよ。なんで翔吾を突き落とした!今は大事な時期だったのに!”
安藤は高らかと笑った。
“アンタのその顔が見たかったのよ!”
意味が分からなかった。
ただ、目の前には般若のような顔をした安藤がいて。
目を爛々とさせて笑っていた。
“アンタからすべてを奪ってやりたくて湯浅を突き落とした。湯浅には悪いことをしちゃったなぁ〜”
“ホントは、アンタをあたしに惚れさせてから絶望の淵に突き落とすつもりだったんだけどねー。千紘が邪魔で上手く行かなかったから、手当り次第アンタの周りのものを壊すことにしたの”
キャハハっと狂気的に笑う安藤。
“なんであたしがアンタを恨んでるか知りたい?”
“…千紘への嫌がらせを止めたからか?”
“はぁー?ホントに何も知らないんだぁ。あたし、アンタに父親奪われたんだよね”