雨降る日のキセキ


そう。


あのときの女の子は千紘だった。


俺がこの手で命を奪った。


そのせいで千紘は何年も何年も苦しい思いをした。


俺が千紘を苦しめていた。


どんな顔して接したらいい?


俺は、千紘に向ける顔がない。


もう千紘とは一緒にいられない。


俺が苦しいから。


この“秘密”を抱えて生きていけるほど強くない。


俺は弱い人間だ。


「ごめんな…千紘……」


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