雨降る日のキセキ
ずっと側にいたい。


もう離れたくない。


「千紘……」


千隼くんの声は震えている。


「ごめん…」


その“ごめん”は拒絶の“ごめん”だった。


離れていく温もり。


千隼くんは、私とは合わすことなく視線を地面に落とした。


「どうして…?私のこと、好きって言ってくれたじゃん…」


「……」


「千隼くん…、何か言ってよ…っ」


わかんないよ。


ちゃんと言ってくれなきゃ何もわかんない…っ。


どうして私を拒絶するの…?


「拒絶するくらいなら、最初から好きって言わないでよ…っ。抱きしめたりしないでよ…っ。期待しちゃったじゃん…」


目が覚めたとき、千隼くんが側にいて嬉しかった。


千隼くんの方から話しかけてくれて、本当に嬉しかったんだ。


なのに…。
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