雨降る日のキセキ
「…ごめん…、私なんて言っていいか分かんないや…」


「そうだよな…ごめん…」


千隼くんだけが悪いわけじゃない。


飲酒運転をした運転手が1番悪い。


それに逆ギレして翔吾や私を襲った華が悪い。


頭ではそう分かってるけど、もし千隼くんが突き飛ばさなければ今でも朝陽くんは生きていたかもしれないなんて聞かされたら…。


どうしていいかわかんないよ…。


「…少し時間もらっていいかな…。今のままじゃ千隼くんにどう接していいか分からない」


「…わかった」


それ以降お互い何も言わない。


いや、言えなかった。


重くて暗い沈黙が私たちを覆っている。


そんな空気を破ったのは千隼くんだった。
< 268 / 336 >

この作品をシェア

pagetop