雨降る日のキセキ
「千隼くんのせいじゃないよ…?分かって…?」


伝わってほしい。


私はもう千隼くんを責めたりしない。


千隼くんのせいで、なんて思ったりしない。


「安藤は俺を恨んでる。だから千紘が巻き込まれたんだ」


「…でも……」


「ごめんな、本当に」


謝罪の言葉がズッシリと心にのしかかる。


「千紘を守るとか何とか言って、結局守れてねぇな。情けねー」


「そんなことない。千隼くんが来てくれなかったら今頃…」


考えただけで身体中が震える。


「……今回の件、監督に話そう」


千隼くんはそう言って立ち上がった。


「待って!ダメ。言わないで」


「事情も全部話して、安藤にも処分が下るようにしないと、同じことを繰り返すだけだ」


グラウンドへ戻ろうとする千隼くんの腕を力の限り引き止める。


「野球部を守りたいの」


「俺は千紘を守りたい」


…っ!!
 

「…今まで、千隼くんのために頑張ってきたんだよ…?」


それを無駄にはしたくない。


せっかく千隼くんが戻ってきてくれたんだ。


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