雨降る日のキセキ
「一緒に甲子園行こうよっ。約束したでしょ…?」


「……そうだけど…」


「私なら大丈夫だから」


「…何が大丈夫なんだよ。号泣してたくせに」


千隼くんはため息をついて私の頬を撫でた。


「千紘の涙はもう見たくない」


「じゃあ泣かない」


「……お前がそんなことできるわけねーだろ」


諦めてくれたのか、ため息をつきながらもう一度その場にしゃがみ込む千隼くん。


「とにかく、赤坂だけは絶対に退部させる。安藤とも話をつける。それしかねぇよな」


表沙汰にはしたくないという私の気持ちを汲み取ってくれたんだ。


「私も一緒に話がしたい」


「……わかったよ」


渋々といった様子で受け入れてくれた。


「どうせ言い出したら聞かないだろ」


ふっと笑ってからもう一度抱きしめてくれる千隼くん。


「もう傷つけたくない。泣いてる千紘を見たくない」


優しく頭を撫でられ、心が温まる。


「ちゃんと解決するから。もう二度とこんなことが起こらないようにするから」


「うん…。一緒に頑張ろう…?」


二人でなら乗り越えられる。


今はつらくても、いつかきっと心から笑い合える日が来る。


私はそう信じてる。
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