雨降る日のキセキ
「……ふざけんな…」


自分でもびっくりするような低い声が出た。


でももう止められない。


「千隼くんが人殺し!?ふざけんじゃないわよ!!朝陽くんを轢き殺したのはあんたの父親でしょ!?飲酒運転をして歩道に突っ込んできたんじゃん!!あんたがやってることはただの逆ギレだよ!!」


「こいつが突き飛ばさなければ―」


「だから何!?突き飛ばさなかったら単独事故で済んだ?そんなのあんたたちの都合でしょ!?なんで千隼くんが人殺し呼ばわりされなきゃいけないのよ!!」


「こいつさえいなければ桜庭朝陽は死ななかった。そんな男と付き合って庇うなんてバカなの?キモいんだけど」


「違う!!私は、全部ひっくるめて千隼くんが好きなの!!あんたなんかに邪魔させない!」


絶対に手出しなんてさせない。


誰にも邪魔させない。


「千隼くんの邪魔をしたら許さない」


そこまで言い切ったとき、肩に温もりを感じた。
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