雨降る日のキセキ
ライバル視
「は?んなのもわかんねーのかよ」
「お前の教え方がわりぃんだよ!」
「千紘はわかったろ?」
「う…うん」
「ほら見ろ。お前の理解力がねーんだ」
「あん?もう一回言ってみろコラ」
「お前の理解力がない」
「てめぇ」
「もう!あんたたちうるさい!」
夏菜のカミナリが落ち、途端に静かになる千隼くんと翔吾(しょうご)。
5時間目の小テストに向けて千隼くんに勉強を教えてもらっていたはずが、気がつけばメンバーが増えて4人で1つの教科書を囲むことに。
私、千隼くん、夏菜、そして湯浅翔吾(ゆあさしょうご)。
翔吾は去年から仲の良い男友達。
髪型自由の校則、部則を最大限活かした金髪で、チャラチャラとネックレスをつけている風貌からは想像できないけど、うちの頼れるキャッチャーだ。
ヤンチャな部員がそれなりにいるうちの部内で唯一、真面目派と不真面目派の両方と仲の良い貴重な存在。
翔吾のおかげで野球部の人間関係は成り立っている。