雨降る日のキセキ
「得意の嫌がらせであの子たちに口止めしたらいいんじゃない?まぁもう手遅れだろうけど」


今の子たちは所属人数が多い吹奏楽部の子たち。


あっという間に噂は広がる。


「人殺しの彼女の分際で―」


「だから何?人を殺しておいて他人に罪を擦り付けるような人間よりはよっぽどマシだと思うけど。私はあんたもあんたの父親も許さない。二度と私たちに関わらないで」


言いたいことはすべて言った。


翔吾が意外だという目で見てくるけど、これくらい言ってもいい権利はあると思うんだ。


「ふんっ。あたしは諦めないから」


華は、漫画のような捨て台詞を吐いて早足に教室を出ていった。


「あとはお前だ。今すぐこれを書け」


千隼くんが叩きつけたのは退部届。


いつの間に手に入れていたんだろう。


翔吾が背中を押して机に向かわせる。


赤坂くんは、本気で怯えた様子で椅子に座った。


…倉庫で何したんだろう…。


翔吾がバリバリの元ヤンって噂はあながち間違いじゃないのかもしれないな…。
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