雨降る日のキセキ
第5章
その後
その後、人気者の千隼くんに嫌がらせをし、さらに野球部を壊そうとしたという噂を流された華は、皆から白い目で見られるようになり逃げるように転校していった。
赤坂くんが私の前に姿を現すこともなくなり、すっかり平穏な日常を取り戻すことができていた。
そして、7月。
高校生活最後の夏がやってきた―。
「今日から7月だ。俺はお前らと少しでも長く野球がしたい。そのためにやるべきことは1つ。気合入れてくぞ!!」
真っ黒に焼けた翔吾が円陣の中央で声を出す。
4月から練習前に円陣を取り入れ監督の案は大成功で、新入部員との結束も強くなったように感じる。
赤坂くんが退部したことにより、残っていたサボり部員たちも皆退部し、野球部は本当に一丸となって夢に向かって突っ走っている。
この日々をずっと願っていた。
皆がひとつになって甲子園を目指すこと。
その中心には翔吾と千隼くんがいて、邪魔する人はひとりもいない。
このメンバーで甲子園に行くんだ。絶対に。