雨降る日のキセキ
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「違いますよ千紘さん。そこを縫ったら次はこっちです」
「えっ?こ、こう?」
「違いますって。ほんと不器用ですよね〜」
新しく入ってきてくれたマネージャーの木下琴音(きのしたことね)ちゃんにからかわれる。
琴音ちゃんはボーイッシュな子だけど、お裁縫がとても上手い。
予選前に渡すためのお守りを手作りしてるんだけど、どうしても上手くできなくて琴音ちゃんに教えてもらっている。
「それに、それ千隼さんにあげるんですよね?もっと縫い目の間隔均等にしたほうがいいです」
「な、なんで分かったの?」
「見てたら分かりますよ〜。千紘さん、めちゃくちゃ顔に出てますよ」
私どんな顔して縫ってたんだろう…。
「どっちが後輩なんだか分かんねーな」
入り口から声がして振り返ると、千隼くんがニヤニヤしながら部室に入ってくるところだった。
「もうっ。一応サプライズのつもりなんだから入ってこないでよ」
「入ってこないでよもなにも、部室だからしょうがないじゃん」
そう言って私が縫いかけているユニホーム型のお守りをつまみ上げる千隼くん。