雨降る日のキセキ
「千隼くん、久しぶりにちょこっとだけデートしよう?」


練習終わり、千隼くんに話しかける。


普段私から誘うことがないからか、少し驚いたように見つめ返してくる。


「だめかな…?」


「いいけど、こんな時間に開いてる店ないだろ」


時刻は9時半を回っている。


夜遅くまで練習を頑張っている証だ。


「私のお家来る?きっと歓迎してくれるよ」


「いきなり行くのは失礼な気が…」


「じゃあ千隼くん家!」


今日は千隼くんと一緒にいたい。  


最近千隼くんの様子が変なのは、ずっと見てきた私にはよく分かる。   


鶴海の名前を見てから明らかに元気がない。


「まぁ…俺は別にいいけど」


「じゃあ決まりだね!行こう!」


千隼くんの手を握り校門へ向かって歩き出す。
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