雨降る日のキセキ
「急にどうした?なんかあった?」


強引に誘いすぎたせいで困惑させちゃった…。


「…何かに悩んでるのかなって心配になって」


ホントは深く聞かないで側にいるだけのつもりだったんだけど、しかたない。


思い切って言ってみると、千隼くんはフッと笑った。


その表情はいつもの爽やかな笑顔じゃなくて、曇りがある暗いものだ。


「私は、ずっと千隼くんの味方だからね」


「ありがとな。まぁでも大丈夫だよ。たいしたことないから」


「翔吾が言ってたよ。千紘と千隼の大丈夫は信用できないって」


そうからかうと、千隼くんはいつもの笑顔で笑ってくれた。


「千紘の大丈夫は確かに信用できねーな」


「千隼くんのほうが信用できないよ。私の大丈夫はホントに大丈夫だもん」


「どこがだよ」


そんな会話をしながら歩くこと数分。


千隼くんの家に到着した。


私の家より立派な一軒家だ。
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