雨降る日のキセキ

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今日もまた練習が始まる。


真面目にやってるメンバーもいれば、グラウンドの端っこの方で遊んでいるメンバーもいる。


いつもの光景だ。


千隼くんが来てからチームの空気は変わり、真面目組が増えたけど、それでも不真面目組は5、6人いる。


「千紘さん!サッカー部のマネージャーが部室に千紘さんのこと呼んでます…」


バッティング練習の準備を手伝っていると、真子ちゃんが怖がった様子で話しかけてきた。


「サッカー部のマネが?」


「はい…」


真子ちゃんが何で怖がっているのかわからないけど、部室棟に戻ることにする。


サッカー部と野球部は部室が隣同士。


階段を上ってすぐの部屋が野球部で、その隣がサッカー部だ。


手入れされていない錆びれた部室棟は、見る度に嫌な気持ちにさせる。


野球部は比較的綺麗な状態を保っているけど、隣のサッカー部やその隣のテニス部は酷い荒廃っぷりだ。


落書きまみれのドアをノックする。


「入れよブス」


え……?


私に言ってる…よね…?
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