雨降る日のキセキ
「そういえば、今日翔吾のチーム相手に完封勝利だったね。おめでとう」


「ありがとう。まぁでも、翔吾にホームラン打たれかけたから完封した感じはない」


千隼くんが先発の試合は、欠かさず中継で見ている。


今日はいつもの無双モードで完封勝利。


爽やかな汗を流しながらヒーローインタビューを受ける千隼くんは、やっぱり何度見てもカッコいい。


向かうところ敵なしなように見える千隼くんだけど、翔吾が苦手らしく通算成績は悪い。


でも、今でもあの名バッテリーが切磋琢磨しあっているのは嬉しい。


何度も喧嘩してた2人が同じプロ野球選手になって、同じように活躍している。


チームは違えど、二人の絶妙な仲の良さは変わらない。


「なぁ千紘。今日一緒に寝よ」


「えぇ…うーーん…いいけど…」


急な誘いに驚いてしどろもどろになってしまった。


そんな私を見て千隼くんはニッと笑う。
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