雨降る日のキセキ
ギィ…っと軋ませながらドアを開く。


中にいたのはクラスのボスである華だった。


そういえば華はサッカー部のマネだったな…。


「あんた、最近望月くんと仲良いよね」


腕を組み、高圧的な態度で話しかけてくる。


狭くて汗臭い空間でジリジリと距離を詰められて息が詰まってくる。


「私、望月くんのこと好きなんだよね。この意味、わかる?」


「……仲良くするなってこと…?」


華はきつく結い上げたポニーテールを揺らしながら高らかに笑う。


華は、気に入らない子をすぐに排除しようとする。


華に嫌われたら不登校に追いやられるという噂は女子の間では有名なものだ。


華に嫌われたら生きていけない。


「よくわかってんじゃん。邪魔したら許さないから」


低くドスの利いた声が私の胸を突く。


私は…千隼くんと仲良くしたい。
< 34 / 336 >

この作品をシェア

pagetop