雨降る日のキセキ
目を釣り上げ、今にも掴みかかってきそうな華。


わかってもらうには話をするしかないよね…。


気持ち悪がられると思ってあまり話してこなかったけど…。


「…私、他に好きな人がいるの。もう亡くなってるんたけどね。朝陽くんっていう人なんだけど、その人が忘れられなくてさ。正直千隼くんのことは眼中にないんだ。だから安心してほしいな…」


本当に千隼くんを好きになることはない。


だから私のことなんてライバル視しなくていいのに…。


「そういう問題じゃないっつーの。あんたが望月くんを好きにならなくても、望月くんはあんたのことが好きになるかもしれないんだから」


「千隼くんが私を?そんなバカな」


千隼くんには朝陽くんの話をしてあるし、それはないだろう。


「華の考えすぎだよ」


私と千隼くんはただのチームメイト。


千隼くんもそう思ってるんじゃないかな。


それでも華は納得してくれなくて、不機嫌そうな顔をやめない。
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