雨降る日のキセキ

片想い -千隼side-

▶千隼side


小さい頃、好きな女の子がいた。


同い年か少し年下くらいの可憐な子だった。


一目惚れってやつだ。


近所に住んでるわけでもなく、見かけることはほとんどなかった。


とにかく可愛くてお人形みたいな子だった。


話したことなんてない。


俺の初恋は名前も声も知らないまま終わった。


だけど。


高2になって転校した先の新しいクラスメートの中に、その子に少しだけ似た女の子がいた。


目がパッチリしていて小柄。


たったそれだけの共通点で、あの時の子かどうかなんて分からない。


ただ、なんとなく似てるなって思ったんだ。


それが千紘の第1印象。


義務感から野球部に入部して、その印象は変わった。
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