雨降る日のキセキ
と部室に戻ったものの、どこを探しても見当たらなかった。
「はぁ…」
絶対怒られるじゃん…。
監督怒ったら怖いんだよ…。
ヤダな…。
「どこに行っちゃったんだろう…」
トボトボ歩いてグラウンドに引き返す。
グラウンドではバッティング練習が始まっていて、監督の姿もある。
「水原!」
「はっはい!」
いきなり監督に呼ばれ、背筋がピンッと伸びる。
失くしたことがもうバレたとか…?
怒られることを想像して心臓がギュッと痛む。
「なんでしょう…」
恐る恐る顔色を伺う。
「大宮のノートがなくなったらしい。さっき望月から聞いた」
やっぱり…。
でも…怒ってない…?
監督の顔はいつもと変わらない。
「自分の管理不足のせいだって謝ってたよ。あいつに鍵貸したのか?」