雨降る日のキセキ


試合は点取合戦の様相を呈してき、藤川さんは3失点、堀田くんは4失点で千隼くんの番が回ってきた。


失点が多いものの、キャプテンの3ランホームランを含む8得点で勝っている。


8-7の接戦。


「任せたぞ、望月」


「うっす!」


監督の重めの声かけに軽く返事をしてマウンドへ上がる千隼くん。


「軽ぃなアイツは…いつもいつも…」


監督が呆れてため息をついているのも気にせず、気楽な表情でキャッチボールを始める。


いつ逆転されてもおかしくない状況でも緊張したそぶりのない度胸。


「なんか…空気変わりましたよね」


真子ちゃんが言いたいことがよく分かる。


千隼くんがマウンドに上がった瞬間、グラウンドの空気が一変した。


グラウンド全体が千隼くんの色に染まった。
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