雨降る日のキセキ
「アンタさぁ…好きな人がいるって言ってたよね?」


鋭い眼光で見つめられ、金縛りにあったように動けなくなる。


「その人の名前、なんだっけ?」 


まるで心を絡み取られるような鋭くてねちっこい眼差しが怖い。


ちゃんと答えなきゃ…。


「えっと…桜庭朝陽…っていう人…だけど…」


「どんな人?」


なんでそんなこと聞くんだろう…。


また…何かされるのかな…。


「……そんな顔しないでくれる?別にアンタには何もしないから。もう興味ないんだよね」


冷たく言い放つ華。


蒸し暑い更衣室が冷え切るような感覚に陥る。


と同時に、もう何もされないんだという安心感がやってきた。


「で?どんな人?」
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