友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
「…万里くん」


本来なら、記憶を失くしたわたしなんて、愛想を尽かされたっておかしくないのに。

万里くんは、優しくわたしの手を握ってくれた。



事故のことや、万里くんのことは…思い出せない。

だけど、それ以外のことは覚えているから、日常生活に支障はなかった。


それに、自分のこともちゃんと覚えている。


わたしの名前は、向坂慈美。

ごく普通の女子高生だ。


そして、眠っている間に、高校2年生になっていた。


わたしは両親を早くに亡くして、親戚の家を転々としていた。


そして、中学の進学時に、遠い親戚にあたる今のおじさんとおばさんの家に預けられたのだ。


これまでもそうだったけど、居候させてもらった家でかわいがられた記憶は…とくにない。

歓迎されることはなく、厄介者扱いだ。


わたしは、いつも孤独だった。
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