友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
「…あ、ありがとう」


受け取るときに、指と指とが少し触れただけでドキッとしてしまった。


「これを渡しに、わざわざここへ…?」

「べつに。ただのサボリ」


――『サボリ』。

確かに、保健室は定番のサボリ場所だ。


でも、わたしは知っている。

一之瀬くんのお気に入りのサボリ場所は、学校の屋上だということを。


今日は、秋晴れの過ごしやすい1日だと天気予報で言っていた。

そんな心地よい日に、サボリで屋上に行かないなんて、一之瀬くんらしくない。



「…それじゃあ、わたしは教室に戻るね」


まさか、一之瀬くんがくるとは思っていなかったから。

一之瀬くんがここでサボるなら、わたしは教室へ――。


「なんで逃げるの?」


ベッドから起き上がり、上靴を履き、スカートの乱れを直していたわたしの腕を一之瀬くんがつかんだ。
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