友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
その止まらない溺愛に、わたしは身も心ももたなくなる。

まるで、甘い波に飲み込まれそうで。


だから、一之瀬くんから逃げるのだけれど――。


「逃げんなよ。本能的に、そんなことされると余計に捕まえたくなる」


いつもの屋上で、わたしは後ろから抱きしめられた。


「もう…やめて、一之瀬くん」

「ごめんな。でも、無理」

「…これ以上こんなことされたら、わたしっ……」


そこまで言って、わたしは口をつぐんだ。

でも、一之瀬くんにはお見通しだった。


「…溺れそう?」


耳元で囁かれ、わたしは恥ずかしさのあまりうつむく。


「だったら、俺に溺れろよ。俺がすくい上げてやるから」

「そんなこと言ったって、わたしにはっ…」


――万里くんがいる。

記憶を失くしたわたしが目覚めたときからそばにいてくれた、万里くんが。
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