友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
「…『ユナ』じゃなくて?」

「ああ。確かに『ユナ』のことは愛してた。でも、記憶のない俺には、それが夢なのか現実なのかさえわからない」


一之瀬くんは、遠くのほうへ目を移す。


「今は、向坂がそばにいてくれるだけで、それでいい」


そう言って、一之瀬くんは優しく微笑んでくれた。

それはまるで、わたしのすべてを包み込んでくれるような気がした。


だから、わたしは自然と一之瀬くんに話していた。


「…実は、わたしも過去の一部の記憶がないの」


そのわたしの言葉に、目を丸くする一之瀬くん。


「向坂も…?記憶喪失ってことか…?」

「…うん。だから、一之瀬くんも記憶がないってことを聞いて、わたしと同じだって思ってたんだよね」


似た者同士とは思っていたけど、まさかここまで同じ境遇だなんて、それはある意味運命だ。
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