友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
わたしは、スタンドからゆっくりとマイクを引き抜いた。



〈どこもかしこも真っ暗な、孤独の世界にいました〉


緊張でうるさく鳴る胸に手をあて、深呼吸をして落ち着かせる。


〈そんなわたしに手を差し伸べてくれたのは、…あなたでした〉


一之瀬くんを見つめながら、そう語る。

すると、なんだか自然と緊張がほぐれていった。


〈わたしはあなたに、ただ伝えたい。わたしを孤独の世界から救ってくれて、ありがとう。そして、好きです。…大好きです〉


…一之瀬くんと過ごした時間は、語りだしたらきりがない。


わたしは、一之瀬くんが想う『ユナ』じゃないかもしれない。

2人で写る写真があっただけで、本当は付き合っていなかったかもしれない。


わたしも一之瀬くんも、そのときの記憶を失ってしまっているし、スマホに残されていた写真は…もうない。
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