友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
〈…え、今から?〉


一之瀬くんの相づちの反応からすると、電話の相手はONEの副総長である慶さんからで、急用でアジトに戻ってきてほしいとのことだった。


「一之瀬くん、わたしなら気にしないで」

「でもっ…」

「慶さん、困ってるんだよね?だったら、行ってあげて」


わたしがそう言うと、一之瀬くんは申し訳なさそうに眉を下げて、こくんとうなずいた。


〈じゃあ、今からそっちに向かうからっ〉


そうして、一之瀬くんは電話を切った。


「…悪い、向坂」

「ううん、大丈夫!」

「そういえば、向坂は由奈になにか用事があったのか?」

「…あっ。そうだった…!」


一之瀬くんに言われて、ハッとした。

由奈のところへ行こうとしたら、たくさんの人に囲まれてしまってそれどころではなくて、…すっかり忘れていた。
< 281 / 368 >

この作品をシェア

pagetop