友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
「ひゅ――…。一之瀬くん、好き。愛してる」

「本当に、今日の向坂はいつもと違うな。俺だって、向坂に負けないくらい好きだよ。愛してる」


とっさに、『彪雅』と言いかけてしまった。


『わたしたちは過去に付き合っていた』

『『ユナ』とは、わたしのこと』


できることなら、そう打ち明けてしまいたいのだけれど――。


それはまだ、わたしの心の中にそっと閉まっておくことにしよう。


なぜなら、わたしが真実を話さなくとも、わたしはこんなに一之瀬くんから愛されている。


ただそれだけで、十分幸せだから。


わたしが『彪雅』と呼ぶのは――。

一之瀬くんの記憶がすべて戻ったときだ。



「甘えてくる向坂もたまんねぇ」


一之瀬くんは、お返しとばかりにわたしにキスの雨を降らせると、愛おしそうにわたしを抱きしめたのだった。
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