友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。～ＯＮＥ 史上最強の暴走族～

一之瀬くんは、なにも今回のことをなかったことにしようとは思っていない。


ただ、複数人で襲いかかるのは、卑怯な相手と同じだから――。

もしそのときがきたら、一之瀬くんは１人でカタつけようとしていた。


ＯＮＥをまとめる総長として。



――その夜。


「向坂…」


真っ暗な部屋で、か細い声が聞こえたと思ったら、いっしょのベッドで眠っていたはずの一之瀬くんだった。

そして、急に後ろからわたしを抱きしめる。


「…どうしたの、一之瀬くん？寝てたんじゃないの？」

「なんだか…あまり眠れなくて」


まるでなにかに怯える子どものように、一之瀬くんはわたしの背中に顔を埋める。


「今日の俺…。あいつらの前で、総長らしく堂々としていられたかな」


ぽつりとわたしの背中に響く、一之瀬くんの小さな声。