友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
「もう、『一之瀬くん』じゃねぇよ。だってそうだろ?『ユナ』――いや、『慈美』」


一之瀬くんは、わたしの首筋に顔を埋めると、そう耳元で囁いた。


熱い吐息がかかって、耳を甘噛みされて…疼く。


「く…くすぐったいよ、一之瀬く――」

「だから、そうじゃないだろ?慈美」


…そうだっ。

わたしたちは、お互いのことを名前で呼び合っていたんだ。


記憶を取り戻してからは、あれだけ『彪雅』と呼びたかったのに、いざそのときがくると…恥ずかしくてたまらない。


「慈美が俺のことを名前で呼んでくれなきゃ、このまま押し倒してもいいんだけど」

「こ…、ここで…!?」

「だって、好きすぎるから」

「…そんなっ、ダメだよ…!」

「じゃあ、呼んで」


一之瀬くんは意地悪に微笑むと、わたしの頬や耳や首筋に何度もキスを落とした。
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