友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~
『由奈』と同じ名前だ。


だから、なにか繋がりがあるのかと思ったけど――。


「…ううん、知らない。初めて見た」


由奈にしては珍しく、ぶっきらぼうにそう言うと、アイスコーヒーに挿さっていたストローに口をつけて、ひと口飲んだ。

まるで、自分の口を塞ぐかのように。


「慈美。あたしもちょっと気になったことがあったんだけど…。聞いてもいい?」

「うん、いいよ。なに?」

「彼氏…のことは、覚えてるの?」


――彼氏。

それは、万里くんのことだ。


「…えっとね。それが……覚えてないんだ」


万里くんに申し訳なくて、わたしは喉から絞り出すように声を出した。


「前に持ってたスマホも壊れちゃって、2人の写真とかが一切なくて…。だから、自分じゃ…よくわからなくて」


自然と、ため息が漏れた。
< 63 / 368 >

この作品をシェア

pagetop