呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
「ガイウス様、急いで起きて下さい。お化けの白の様子がおかしいです」
ロウに起こされ、何事かと急ぎ支度をした。
白が慌てるのは、懐いているリーファが呼ぶ時だけだ。
「リーファは何処だ?」
「パン屋に買い物に行きましたが……」
「すぐに探すぞ」
嫌な予感を抱えたまま、パン屋へ行こうとロウと出かけると、パン屋の主人が邸にやって来た。
主人は、リーファが男達に囲まれており、何事かと俺を呼びに来たのだった。
あまりの異様な空気に、その様子を見た街人は誰も近付けなかったという。
「不審な人物は街にいたか?」
「旅人も来るような街ですから、知らない人間は多数いますね」
ロウも特定は出来ない。
「この時間にリーファが来ることを知っているのは、呪われていることを知っている人間だ」
「ガイウス様とリーファ様はよくこの時間にパン屋に行ってましたし、最近は仲睦まじい夫婦だと、街では噂になってましたから、もしかしたら、それが裏目に出たのかもしれません。リーファ様の素性を知っているなら、聞き込みをする必要はありませんし、街によく行く時間さえ分かればいいのですから……」
「アーサー様か……」
「間違いないでしょう」
「急ぎリーファを探す!」
アーサー様は結婚が決まったのに、まだリーファに執着するなんて……。
リーファが殺されることはないが、無事とは限らない。
だが、すぐにアーサー様の使者がやって来た。
使者はアーサー様の結婚式の招待状を持って来たのだ。
「リーファ様のことについてのご報告も……」
相手にする気はなかったが、リーファのことを言われると聞かずにはいられない。
パン屋の主人には裏口から帰らせ、使者を邸に招いた。
本当ならすぐに探しに行きたいが、リーファの話を無視は出来ない。
まだ薄暗い書斎に通し、話を聞く。
「結婚式の話なら後日正式に返答をする。用があるなら急いでもらおう」
「では、リーファ様のお話を……リーファ様はアーサー様の愛妾に上がることになりました。その報告です」
「ふざけるな! 無理矢理連れて行ったのか!?」
いきなりの報告に立ち上がり、怒りは抑えられなかった。
「リーファ様からついて行きました。愛妾の条件には既婚者であることですし、愛妾をとることはこの国では認められています。アーサー様は結婚致しますので、何の法も犯していません」
「リーファが自分から行くわけがない! 話にならん!」
「では、何故ここにいないのでしょうか? もう出発致しましたよ」
八つ裂きにしてやりたいと思った。
こんなに怒りを感じたのは初めてだった。
そして、急に部屋が真っ暗になった。
俺の怒りを感じ取ったのか、脅かしたかったのか、お化け達が使者を脅かし始めた。
使者達は、恐怖でギャアァァッと叫び転がるように部屋を出た。
「ク、クローリー公爵!? これは!?」
「この邸は有名なヘルハウスだ。話が終わりなら、すぐにお引き取り願おう」
お化け達はもう眠る時間なのに、不気味な笑い声を上げ、使者を追いかけて邸から追い出していた。
『ガイウス! 地下に料理人が転がっているわよ!』
追いかけるお化けをよそ目に、ジュリアが飛んで来た。
「ク、クローリー公爵! 我々はこれで失礼致す!」
「では、邸の者達に見送らせよう」
「けけけっ、結構ですっ!」
お化け達に見送られたくない使者達は、これでもかと言うほど走って逃げた。
そのまま真っ暗な地下に行くと、隠し通路のある棺桶にジェフが座り込んでいた。
「大丈夫か? リーファはどうした?」
「すみません! ガイウス様! ……リーファ様は……俺のせいで……!」
リーファは、ジェフを庇い着いて行った。
自分から行くわけないと思っていたが、ジェフを狙われ、優しいリーファは見捨てられなかったのだ。
「ロウ……ジェフを隠せ。この邸はしばらく閉じるぞ」
「ジェフは昔の知人の邸に預けましょう」
「ジェフ、泣くな。リーファはすぐに助ける」
「リーファ様が、お化けになっても帰って来ると……旦那様のことが好きだと言い残して行かれました……」
嗚咽を漏らすように、ジェフは言った。
「……必ず守ってやると言ったのに……」
リーファは待てなかったのだ。
お化けが知らせに来た時には間に合わなかった。
「リーファを救出するぞ」
「陛下は死期が近いですよ。あまり頼りにならないかもしれません」
「リーファは俺が助ける。すぐに行くぞ。……白、お前はリーファの所に行け。きっと泣いている」
白ならすぐに飛んで行ける。
本当なら、俺が飛んで行きたいが……。
白は言われた通りに邸を突き抜けて行った。
「ガイウス様がお怒りになるのは、初めて見ましたよ」
ロウはそう言って、ジェフを起こしている。
そして、ヘルハウスを後にし、王都へとリーファを求めて行った。
ロウに起こされ、何事かと急ぎ支度をした。
白が慌てるのは、懐いているリーファが呼ぶ時だけだ。
「リーファは何処だ?」
「パン屋に買い物に行きましたが……」
「すぐに探すぞ」
嫌な予感を抱えたまま、パン屋へ行こうとロウと出かけると、パン屋の主人が邸にやって来た。
主人は、リーファが男達に囲まれており、何事かと俺を呼びに来たのだった。
あまりの異様な空気に、その様子を見た街人は誰も近付けなかったという。
「不審な人物は街にいたか?」
「旅人も来るような街ですから、知らない人間は多数いますね」
ロウも特定は出来ない。
「この時間にリーファが来ることを知っているのは、呪われていることを知っている人間だ」
「ガイウス様とリーファ様はよくこの時間にパン屋に行ってましたし、最近は仲睦まじい夫婦だと、街では噂になってましたから、もしかしたら、それが裏目に出たのかもしれません。リーファ様の素性を知っているなら、聞き込みをする必要はありませんし、街によく行く時間さえ分かればいいのですから……」
「アーサー様か……」
「間違いないでしょう」
「急ぎリーファを探す!」
アーサー様は結婚が決まったのに、まだリーファに執着するなんて……。
リーファが殺されることはないが、無事とは限らない。
だが、すぐにアーサー様の使者がやって来た。
使者はアーサー様の結婚式の招待状を持って来たのだ。
「リーファ様のことについてのご報告も……」
相手にする気はなかったが、リーファのことを言われると聞かずにはいられない。
パン屋の主人には裏口から帰らせ、使者を邸に招いた。
本当ならすぐに探しに行きたいが、リーファの話を無視は出来ない。
まだ薄暗い書斎に通し、話を聞く。
「結婚式の話なら後日正式に返答をする。用があるなら急いでもらおう」
「では、リーファ様のお話を……リーファ様はアーサー様の愛妾に上がることになりました。その報告です」
「ふざけるな! 無理矢理連れて行ったのか!?」
いきなりの報告に立ち上がり、怒りは抑えられなかった。
「リーファ様からついて行きました。愛妾の条件には既婚者であることですし、愛妾をとることはこの国では認められています。アーサー様は結婚致しますので、何の法も犯していません」
「リーファが自分から行くわけがない! 話にならん!」
「では、何故ここにいないのでしょうか? もう出発致しましたよ」
八つ裂きにしてやりたいと思った。
こんなに怒りを感じたのは初めてだった。
そして、急に部屋が真っ暗になった。
俺の怒りを感じ取ったのか、脅かしたかったのか、お化け達が使者を脅かし始めた。
使者達は、恐怖でギャアァァッと叫び転がるように部屋を出た。
「ク、クローリー公爵!? これは!?」
「この邸は有名なヘルハウスだ。話が終わりなら、すぐにお引き取り願おう」
お化け達はもう眠る時間なのに、不気味な笑い声を上げ、使者を追いかけて邸から追い出していた。
『ガイウス! 地下に料理人が転がっているわよ!』
追いかけるお化けをよそ目に、ジュリアが飛んで来た。
「ク、クローリー公爵! 我々はこれで失礼致す!」
「では、邸の者達に見送らせよう」
「けけけっ、結構ですっ!」
お化け達に見送られたくない使者達は、これでもかと言うほど走って逃げた。
そのまま真っ暗な地下に行くと、隠し通路のある棺桶にジェフが座り込んでいた。
「大丈夫か? リーファはどうした?」
「すみません! ガイウス様! ……リーファ様は……俺のせいで……!」
リーファは、ジェフを庇い着いて行った。
自分から行くわけないと思っていたが、ジェフを狙われ、優しいリーファは見捨てられなかったのだ。
「ロウ……ジェフを隠せ。この邸はしばらく閉じるぞ」
「ジェフは昔の知人の邸に預けましょう」
「ジェフ、泣くな。リーファはすぐに助ける」
「リーファ様が、お化けになっても帰って来ると……旦那様のことが好きだと言い残して行かれました……」
嗚咽を漏らすように、ジェフは言った。
「……必ず守ってやると言ったのに……」
リーファは待てなかったのだ。
お化けが知らせに来た時には間に合わなかった。
「リーファを救出するぞ」
「陛下は死期が近いですよ。あまり頼りにならないかもしれません」
「リーファは俺が助ける。すぐに行くぞ。……白、お前はリーファの所に行け。きっと泣いている」
白ならすぐに飛んで行ける。
本当なら、俺が飛んで行きたいが……。
白は言われた通りに邸を突き抜けて行った。
「ガイウス様がお怒りになるのは、初めて見ましたよ」
ロウはそう言って、ジェフを起こしている。
そして、ヘルハウスを後にし、王都へとリーファを求めて行った。