呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
「呪いを知っていたのですか!?」
「あの女が呪いの茶を作ったのを知ったのは、リーファがいなくなってからだ。呪いのせいで、宵闇の街に行くためにガイウスと結婚したと聞いたからな。父上が頼んだのだろう? だから、一刻も早く呪いを解こうと、犯人を探した。呪いさえなければ、リーファをすぐに取り返しに行くつもりだったからな」
だから、ヘルハウスでしばらくは平和だったのだ。
あの日々は私には素晴らしいものだった。
使用人もいなく自分で何でもしないといけなかったが、一度も苦にならなかった。
むしろ、旦那様の為に頑張れることが嬉しかったのかもしれない。
しかし、その間に私を取り返す為に、アーサー様は血眼になって犯人探しをしていたとは……。
「呪いの茶の特定は難しかったが、あの女、キャシーが近付いて来たんだ。自分が呪いの茶を作ったと……そして、解いて欲しければ、妃にしてくれと頼んで来た。取り返すのが難しければ、愛妾にすることも考えていたからな……だから、結婚することにした。リーファを愛妾にする為にどうせ適当に選ぶつもりだったからな。そして、いくら公爵といえども、愛妾の命が下ればそうは断れん。次期王は俺だと、ガイウスは知っているだろうからな」
「次期王……アーサー様は第2殿下では……? いえ……呪いの解き方を知っているのですか!?」
「知っている。呪いが解ける条件を聞いたからな。俺しかリーファの呪いは解けん」
意味がわからない。
アーサー様が次の王になることもわからないし、呪いを解けるのがアーサー様だけだとは…。
「キャシーは感謝して欲しいと言っていたぞ……」
アーサー様は嘲笑気味になっていた。
皮肉にもそのせいで、私を妾として閉じ込める理由が出来たからだろう。
「……どうやって解くのですか?」
「聞きたいか? ……あたふたしているリーファも楽しかったのだがな……」
「性格が歪んでますよ……! 解けるなら、解いて下さい!」
「いいのか? リーファの性格なら、益々ガイウスのところに帰れなくなるぞ」
アーサー様は、皮肉を込めているのかクスリと笑う。
「あの呪いの茶は対だった。呪いを解く条件は、あの呪いの茶の対を飲んだ者と交わることだ」
「……嘘……嘘です!」
だって、あの茶会には私とアーサー様しかいなかった!
あのお茶を飲んだのは、私とアーサー様だけだけど……。
アーサー様には、何も入ってなかったんじゃないの!?
衝撃の事実に腰が抜けたようにペタンとその場に座り込んでしまっていた。
「……おかしいです……! だって、もしも、間違えてアーサー様が飲んでいたらどうする気だったのですか!?」
「……そうだな……そうなれば、リーファが王命でも受けて、すぐに差し出されたかもしれないな……どちらにしても、あの時、あの茶を飲んだのは俺とリーファだけだからな……」
ひどい! そんな呪いなら、アーサー様と結婚したい人が飲めばいいじゃない!
どうして私とアーサー様のお茶会に仕込むのですか!?
「少し慣れさせようと初夜まで待つ気だったが、すぐに呪いを解きたいなら、今すぐに来るか?」
「触らないで!!」
私の頬に手を添えるアーサー様に向かって、その場に散乱していた花瓶の破片を握りアーサー様に真一文字に振った。
「……っつ!?」
私の手からは破片で切れ血が垂れている。
アーサー様も、とっさに手で庇いそのまま手から血を流す。
「私を旦那様のところに帰して……」
床に丸まるようになりながら、涙が出た。
何故あの時に旦那様と、本当の夫婦にならなかったのか。後悔しかない。
本当にアーサー様の妾になれば、もう旦那様のところには帰れない。
「リーファがどうしようが、ここからは出られん。だが、少し頭を冷やせ。今夜は一人にしてやろう」
アーサー様は、自分の手を抑えながら部屋から出ていった。
泣いている私の手当てをしてやれ、と使用人に命令して……。
「あの女が呪いの茶を作ったのを知ったのは、リーファがいなくなってからだ。呪いのせいで、宵闇の街に行くためにガイウスと結婚したと聞いたからな。父上が頼んだのだろう? だから、一刻も早く呪いを解こうと、犯人を探した。呪いさえなければ、リーファをすぐに取り返しに行くつもりだったからな」
だから、ヘルハウスでしばらくは平和だったのだ。
あの日々は私には素晴らしいものだった。
使用人もいなく自分で何でもしないといけなかったが、一度も苦にならなかった。
むしろ、旦那様の為に頑張れることが嬉しかったのかもしれない。
しかし、その間に私を取り返す為に、アーサー様は血眼になって犯人探しをしていたとは……。
「呪いの茶の特定は難しかったが、あの女、キャシーが近付いて来たんだ。自分が呪いの茶を作ったと……そして、解いて欲しければ、妃にしてくれと頼んで来た。取り返すのが難しければ、愛妾にすることも考えていたからな……だから、結婚することにした。リーファを愛妾にする為にどうせ適当に選ぶつもりだったからな。そして、いくら公爵といえども、愛妾の命が下ればそうは断れん。次期王は俺だと、ガイウスは知っているだろうからな」
「次期王……アーサー様は第2殿下では……? いえ……呪いの解き方を知っているのですか!?」
「知っている。呪いが解ける条件を聞いたからな。俺しかリーファの呪いは解けん」
意味がわからない。
アーサー様が次の王になることもわからないし、呪いを解けるのがアーサー様だけだとは…。
「キャシーは感謝して欲しいと言っていたぞ……」
アーサー様は嘲笑気味になっていた。
皮肉にもそのせいで、私を妾として閉じ込める理由が出来たからだろう。
「……どうやって解くのですか?」
「聞きたいか? ……あたふたしているリーファも楽しかったのだがな……」
「性格が歪んでますよ……! 解けるなら、解いて下さい!」
「いいのか? リーファの性格なら、益々ガイウスのところに帰れなくなるぞ」
アーサー様は、皮肉を込めているのかクスリと笑う。
「あの呪いの茶は対だった。呪いを解く条件は、あの呪いの茶の対を飲んだ者と交わることだ」
「……嘘……嘘です!」
だって、あの茶会には私とアーサー様しかいなかった!
あのお茶を飲んだのは、私とアーサー様だけだけど……。
アーサー様には、何も入ってなかったんじゃないの!?
衝撃の事実に腰が抜けたようにペタンとその場に座り込んでしまっていた。
「……おかしいです……! だって、もしも、間違えてアーサー様が飲んでいたらどうする気だったのですか!?」
「……そうだな……そうなれば、リーファが王命でも受けて、すぐに差し出されたかもしれないな……どちらにしても、あの時、あの茶を飲んだのは俺とリーファだけだからな……」
ひどい! そんな呪いなら、アーサー様と結婚したい人が飲めばいいじゃない!
どうして私とアーサー様のお茶会に仕込むのですか!?
「少し慣れさせようと初夜まで待つ気だったが、すぐに呪いを解きたいなら、今すぐに来るか?」
「触らないで!!」
私の頬に手を添えるアーサー様に向かって、その場に散乱していた花瓶の破片を握りアーサー様に真一文字に振った。
「……っつ!?」
私の手からは破片で切れ血が垂れている。
アーサー様も、とっさに手で庇いそのまま手から血を流す。
「私を旦那様のところに帰して……」
床に丸まるようになりながら、涙が出た。
何故あの時に旦那様と、本当の夫婦にならなかったのか。後悔しかない。
本当にアーサー様の妾になれば、もう旦那様のところには帰れない。
「リーファがどうしようが、ここからは出られん。だが、少し頭を冷やせ。今夜は一人にしてやろう」
アーサー様は、自分の手を抑えながら部屋から出ていった。
泣いている私の手当てをしてやれ、と使用人に命令して……。