呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
邸に着くと、わざわざ馬車から降りて下さり、門の前まで来て下さった。
「あの……ありがとうございます」
「今日はゆっくり休みなさい」
「はい」
追いかけられて、追突してしまった私に名前も名乗らなかった男性は最後まで優しかった。
私からお名前ぐらい聞くべきだったのだろうか。
お名前がわからなければ、お礼も出来ない。いや、そもそも、自分のお金さえないのだから、お礼も出来ない。
そんな私はお礼をさせて下さいと、言えずお名前も聞けなかった。
……もう一度、会えたら。
しかし、翌日からそんな仄かな余韻に浸る日はなかった。
早朝から真っ赤な薔薇を抱え、あのアーサー様がやってきたのだ。
ノーラは自分に会いに来てくれたものだと思ったようだが、アーサー様の目にも止まらず、私は尚更恨まれてしまう。どんな卑怯な手を使ったのかと私を責める事もある。
そしてアーサー様は毎日毎日早朝から私を迎えに来て、王宮に……私が畏れ多いと遠慮すると、貴族街のアーサー様のお邸に連れて行かれるようになった。
そんな毎日に終わりを告げるようにあの事件が起きた。
私はお茶を飲んだ後、テーブルに倒れてしまっていたのだ。
そして、目が覚めるとふかふかのベッドの上だった。
「ここは……」
明らかに私のベッドよりもふかふかな具合に、大きなベッド……絶対に私の部屋じゃない!
そして大きな声が聞こえる。
「どうして目が覚めないんだ!? もっとちゃんと診てくれ!!」
「しかし、本当にただ眠っているだけなのです!!」
声のする方を向こうと身体を起こすと、扉を背に立って話していたのは、アーサー様と医者らしい恰好の知らない男性。
私がここで何を……と思う暇もなく、アーサー様が私の名前を叫んだ。
「リーファ!!」
そして、私も叫ぶ。
「キャァァァーーーーー!?」
お茶を飲んで倒れた私。目が覚めるとふかふかのベッドの上……。
まさか、私はアーサー様にクスリを盛られて手籠めにされてしまったのだろうか!?
訳がわからなくなり、パニックに陥る私に、アーサー様は「どうしたんだ!? リーファ!」と、私の名前を何度も大きな声で言う。
聞きたくなくて耳を抑えても、「リーファ!」と、聞こえる……。
嫌だ! 嫌だ! ここは嫌だ!
早く帰りたい! 帰りたい!
でも……帰りたい……? どこに……?
あの家に帰りたいのだろうか?
「……っう……うぅっ……」
「リーファ……! どうしたんだ?」
「……触らないで下さい」
「……リーファ……?」
涙をホトホトと流し小さな声で、アーサー様を拒否すると、アーサー様は驚きの顔を見せる。
私に拒否されるなど思いもよらなかったのだろう。
そんな緊張感が張られようとした時に、誰かが報告に来た。
「アーサー様! わかりました! 呪いです! 呪いの薬物の反応が出ました!」
お茶をいくら調べても薬の反応が出ずに、もしやと思い調べたら、呪いの反応が出たらしい。
「呪い……?」
「そうだよ、リーファ。君はお茶会で倒れてから、ずっと眠っていたんだ……」
ずっと眠っている私をアーサー様が心配してくれたのはわかった。
おかげでアーサー様に無理やり手込めにされてないことにホッとし、アーサー様にすみません、と謝罪する。アーサー様は目が覚めれば良いんだ……と悲しげに言った。
そして……あの夜会を思い出したのも夢だったと……。
「あの……ありがとうございます」
「今日はゆっくり休みなさい」
「はい」
追いかけられて、追突してしまった私に名前も名乗らなかった男性は最後まで優しかった。
私からお名前ぐらい聞くべきだったのだろうか。
お名前がわからなければ、お礼も出来ない。いや、そもそも、自分のお金さえないのだから、お礼も出来ない。
そんな私はお礼をさせて下さいと、言えずお名前も聞けなかった。
……もう一度、会えたら。
しかし、翌日からそんな仄かな余韻に浸る日はなかった。
早朝から真っ赤な薔薇を抱え、あのアーサー様がやってきたのだ。
ノーラは自分に会いに来てくれたものだと思ったようだが、アーサー様の目にも止まらず、私は尚更恨まれてしまう。どんな卑怯な手を使ったのかと私を責める事もある。
そしてアーサー様は毎日毎日早朝から私を迎えに来て、王宮に……私が畏れ多いと遠慮すると、貴族街のアーサー様のお邸に連れて行かれるようになった。
そんな毎日に終わりを告げるようにあの事件が起きた。
私はお茶を飲んだ後、テーブルに倒れてしまっていたのだ。
そして、目が覚めるとふかふかのベッドの上だった。
「ここは……」
明らかに私のベッドよりもふかふかな具合に、大きなベッド……絶対に私の部屋じゃない!
そして大きな声が聞こえる。
「どうして目が覚めないんだ!? もっとちゃんと診てくれ!!」
「しかし、本当にただ眠っているだけなのです!!」
声のする方を向こうと身体を起こすと、扉を背に立って話していたのは、アーサー様と医者らしい恰好の知らない男性。
私がここで何を……と思う暇もなく、アーサー様が私の名前を叫んだ。
「リーファ!!」
そして、私も叫ぶ。
「キャァァァーーーーー!?」
お茶を飲んで倒れた私。目が覚めるとふかふかのベッドの上……。
まさか、私はアーサー様にクスリを盛られて手籠めにされてしまったのだろうか!?
訳がわからなくなり、パニックに陥る私に、アーサー様は「どうしたんだ!? リーファ!」と、私の名前を何度も大きな声で言う。
聞きたくなくて耳を抑えても、「リーファ!」と、聞こえる……。
嫌だ! 嫌だ! ここは嫌だ!
早く帰りたい! 帰りたい!
でも……帰りたい……? どこに……?
あの家に帰りたいのだろうか?
「……っう……うぅっ……」
「リーファ……! どうしたんだ?」
「……触らないで下さい」
「……リーファ……?」
涙をホトホトと流し小さな声で、アーサー様を拒否すると、アーサー様は驚きの顔を見せる。
私に拒否されるなど思いもよらなかったのだろう。
そんな緊張感が張られようとした時に、誰かが報告に来た。
「アーサー様! わかりました! 呪いです! 呪いの薬物の反応が出ました!」
お茶をいくら調べても薬の反応が出ずに、もしやと思い調べたら、呪いの反応が出たらしい。
「呪い……?」
「そうだよ、リーファ。君はお茶会で倒れてから、ずっと眠っていたんだ……」
ずっと眠っている私をアーサー様が心配してくれたのはわかった。
おかげでアーサー様に無理やり手込めにされてないことにホッとし、アーサー様にすみません、と謝罪する。アーサー様は目が覚めれば良いんだ……と悲しげに言った。
そして……あの夜会を思い出したのも夢だったと……。