呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
アーサー様の部屋の前は、どす黒く背筋がゾッとした。
部屋には鍵がかかっており、アーサー様! と私や高官たちが呼んでも返事はない。
ただ、何かガタガタと音はする。
「ロウ、開けてくれ」
「はい、畏まりました」
ロウさんはどこから出したか、アイスピックよりも先の細いもので、カチャカチャと鍵穴を回すと鍵が難なく開いた。どんな技術を持っているのか、ロウさんはひたすら謎である。
そして、扉を開けると部屋にはあの甘い匂いがする。
アーサー様はベッドにぐったりと倒れるように寝ていた。
「アーサー様! 大丈夫ですか!?」
アーサー様に駆け寄ると顔色悪く、ぐったりとしている。
旦那様たちは、先ほどのガタガタとした音が気になるのか周りを見渡すように探している。
「風があるぞ。どこからか隙間風が吹いている」
「確かこの部屋は緊急用に脱出できる秘密の通路があったはずです」
ロウさんが旦那様に秘密通路を教える為か、本棚を動かし始めていた。
高官二人は、アーサー様を呼んでいるが、アーサー様は中々目を開かない。
その間にも、ロウさんは秘密の通路を知っていたのか、何段もある本棚をずらして秘密の通路を開いていた。
秘密の通路の壁に耳を当て、ロウさんは足音が聞こえます。といつもの執事とは違う顔で引き締まっている。
「ロウ、捕まえられるか?」
「そう遠くありませんから、すぐに捕らえられます。では、行って来ます」
ロウさんは、初老とは思えないほど早く走り、あっという間に秘密の通路から見えなくなった。
その間もアーサー様は起きない。
「旦那様! アーサー様が目を覚ましません!」
旦那様は、目を細めてアーサー様を見ている。私を旦那様から引き離したアーサー様に怒っているのだろう。
「……とりあえず、この部屋のどす黒いモヤを消そう。あなた方は陛下と亡き王妃の契約書を探してください。あれがある限り、王妃の亡霊は消せない」
「すぐに、陛下の元へ行きます!」
高官二人は慌てるように、急ぐぞ! と走り去っていった。
それくらい今の状況は不味いのだ。
陛下と亡き王妃の契約書は今は陛下が隠しているらしく、ニール殿下も所在はわからないと話していた。
そして、契約書がある限り、王妃の亡霊を消してもまた現れるらしく、契約書はどうしても必要だと、旦那様は考えている。
目の前にぐったりとしているアーサー様もわからない。
どうしてこんなところで眠り起きないのか……。
「旦那様、アーサー様はどうしたのでしょう? こんなに呼びかけても起きないなんて……」
「起きないなら、別にいいんじゃないか?」
「そういうわけには……やっぱり心配です」
いくらあんなことをされても、こんな状況ではやはり心配になる。
ましてや、これだけ呼んでも起きないなんて……。
アーサー様の隣で名前を呼びながら揺さぶる私を、旦那様は後ろから立ったまま睨んでいる。
黒髪から覗かせる金の瞳は本当に迫力がある。そして、睨んでいるのは、まさかと思うが嫉妬しているのだろうか。
この何事にも動揺しない旦那様に嫉妬心があるとは思えないが、そう思ってくれているとは私が思っているより私を好いていてくれるのだろうか。
そうだと嬉しい……。でも、今はそんなことを考えている状況ではなかった。
部屋には鍵がかかっており、アーサー様! と私や高官たちが呼んでも返事はない。
ただ、何かガタガタと音はする。
「ロウ、開けてくれ」
「はい、畏まりました」
ロウさんはどこから出したか、アイスピックよりも先の細いもので、カチャカチャと鍵穴を回すと鍵が難なく開いた。どんな技術を持っているのか、ロウさんはひたすら謎である。
そして、扉を開けると部屋にはあの甘い匂いがする。
アーサー様はベッドにぐったりと倒れるように寝ていた。
「アーサー様! 大丈夫ですか!?」
アーサー様に駆け寄ると顔色悪く、ぐったりとしている。
旦那様たちは、先ほどのガタガタとした音が気になるのか周りを見渡すように探している。
「風があるぞ。どこからか隙間風が吹いている」
「確かこの部屋は緊急用に脱出できる秘密の通路があったはずです」
ロウさんが旦那様に秘密通路を教える為か、本棚を動かし始めていた。
高官二人は、アーサー様を呼んでいるが、アーサー様は中々目を開かない。
その間にも、ロウさんは秘密の通路を知っていたのか、何段もある本棚をずらして秘密の通路を開いていた。
秘密の通路の壁に耳を当て、ロウさんは足音が聞こえます。といつもの執事とは違う顔で引き締まっている。
「ロウ、捕まえられるか?」
「そう遠くありませんから、すぐに捕らえられます。では、行って来ます」
ロウさんは、初老とは思えないほど早く走り、あっという間に秘密の通路から見えなくなった。
その間もアーサー様は起きない。
「旦那様! アーサー様が目を覚ましません!」
旦那様は、目を細めてアーサー様を見ている。私を旦那様から引き離したアーサー様に怒っているのだろう。
「……とりあえず、この部屋のどす黒いモヤを消そう。あなた方は陛下と亡き王妃の契約書を探してください。あれがある限り、王妃の亡霊は消せない」
「すぐに、陛下の元へ行きます!」
高官二人は慌てるように、急ぐぞ! と走り去っていった。
それくらい今の状況は不味いのだ。
陛下と亡き王妃の契約書は今は陛下が隠しているらしく、ニール殿下も所在はわからないと話していた。
そして、契約書がある限り、王妃の亡霊を消してもまた現れるらしく、契約書はどうしても必要だと、旦那様は考えている。
目の前にぐったりとしているアーサー様もわからない。
どうしてこんなところで眠り起きないのか……。
「旦那様、アーサー様はどうしたのでしょう? こんなに呼びかけても起きないなんて……」
「起きないなら、別にいいんじゃないか?」
「そういうわけには……やっぱり心配です」
いくらあんなことをされても、こんな状況ではやはり心配になる。
ましてや、これだけ呼んでも起きないなんて……。
アーサー様の隣で名前を呼びながら揺さぶる私を、旦那様は後ろから立ったまま睨んでいる。
黒髪から覗かせる金の瞳は本当に迫力がある。そして、睨んでいるのは、まさかと思うが嫉妬しているのだろうか。
この何事にも動揺しない旦那様に嫉妬心があるとは思えないが、そう思ってくれているとは私が思っているより私を好いていてくれるのだろうか。
そうだと嬉しい……。でも、今はそんなことを考えている状況ではなかった。