呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
陛下がお休みになっている部屋は、ずっと奥でひたすら廊下を歩いた。
「旦那様……廊下が真っ黒です」
背筋がゾッとしたままそう呟くと、肩にまわしていた旦那様の手に力が入る。
後ろを歩いているアーサー様とロウさんをチラリとみると、アーサー様はジィーと私を見ていた。やはり、薬のせいだろうか?
陛下の部屋の前には先ほどまで一緒にいた高官たちが、契約書が見つからずに途方に暮れているようだった。
「もしかしたら、別の部屋に隠しているのかも……」
高官の一人が、思い当たる部屋を思いだそうとしたが、旦那様は間違いなくこの部屋にあると言った。
「ここが一番王妃の力が強い。ここにあるのは間違いないのだが……」
ニール殿下ももう所在はわからない。
陛下以外はもう、誰も所在はわからないのでは? と思うと旦那様がアーサー様の方を見た。旦那様はアーサー様が知っているかのような視線にアーサー様が話し出した。
「……父上のベッドだ。ベッドの下側に隠せる引き出しがある。頭元の下を見ればわかる」
「やはり契約書のありかを知っていましたか……」
アーサー様は本当なら誰にも言う気はなかったのだろう。
旦那様は契約書のありかが高官ではわからないかもしれないと思ってアーサー様を連れてきたようにも思える。
勿論、アーサー様の父親のことで見届ける必要があると思ったのだろうけど……。
そして、凄く気持ちが悪い。
「リーファ、大丈夫か? 顔色が悪いぞ……」
「旦那様……気持ち悪くて……」
こんなにどす黒いモヤモヤの中、警備の人たちや高官たちもそれなりに恐怖はあるのに気持ち悪いのは私だけだった。
「リーファ様はお連れしない方がよろしいかもしれませんね」
「そうだな……」
「旦那様……」
旦那様と離れたくないけど、私にはこれ以上進めない。
旦那様にはするべきことがあるのだから、これ以上迷惑をかけられなかった。
「リーファ、ここで待っていてくれるか?」
「はい……ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「すぐに帰ってくる」
「はい、ずっとお待ちしています」
旦那様に抱きしめられていると、旦那様は陛下の部屋の警備たちに「妻を頼むぞ」と頼み、ロウさんとアーサー様を連れて陛下の部屋に足を踏み入れた。
私は部屋にすら近づけずに、離れたまま旦那様に危険はないのだろうか、と不安なままで待つしかなかった。
真っ暗な部屋を祈るように見ていると、はなし声も聞こえるが何を言っているかまでは聞こえない。
でも、部屋から溢れていたどす黒いモヤモヤが、旦那様の魔法の光で段々と薄れていくのはわかる。
「クローリー公爵のおかげでなんとか収まりそうですな……」
「すぐに陛下を診てもらえるように医師の手配を……」
「回復魔法を使えるものは控えさせています」
高官たちと警備たちは、このあとの手筈をすでに準備し始めている。
呪いに蝕まれて長くないにしても、すぐに亡くなるよりも少しでも生きて欲しいとこの場にいるものが皆そう思っている。
その時、後ろから警備たちの叫び声がした。
「ぎゃぁあ!!」
「抑えろ!!」
振り向くと、キャシー様が抑えられながら暴れている。
腕を抑えられながら倒れている警備に、周りは床から蒸気のような煙が上がっていた。
割れた小瓶に何か酸らしきものを隠し持っていたのだろう。
「クローリー夫人こちらへ!」
高官と、周りを警備に守られながら後ろに下がると、キャシー様は私に恨みを吐き出した。
目は血走り、私を道連れにしたくてこんな暴挙にでている。
「その女だけは許せない! あいつさえいなかったら上手くいったのに! 許せない!」
その恨みに呼応するように、陛下の部屋からどす黒いモヤモヤが飛び出して来た。
「旦那様……廊下が真っ黒です」
背筋がゾッとしたままそう呟くと、肩にまわしていた旦那様の手に力が入る。
後ろを歩いているアーサー様とロウさんをチラリとみると、アーサー様はジィーと私を見ていた。やはり、薬のせいだろうか?
陛下の部屋の前には先ほどまで一緒にいた高官たちが、契約書が見つからずに途方に暮れているようだった。
「もしかしたら、別の部屋に隠しているのかも……」
高官の一人が、思い当たる部屋を思いだそうとしたが、旦那様は間違いなくこの部屋にあると言った。
「ここが一番王妃の力が強い。ここにあるのは間違いないのだが……」
ニール殿下ももう所在はわからない。
陛下以外はもう、誰も所在はわからないのでは? と思うと旦那様がアーサー様の方を見た。旦那様はアーサー様が知っているかのような視線にアーサー様が話し出した。
「……父上のベッドだ。ベッドの下側に隠せる引き出しがある。頭元の下を見ればわかる」
「やはり契約書のありかを知っていましたか……」
アーサー様は本当なら誰にも言う気はなかったのだろう。
旦那様は契約書のありかが高官ではわからないかもしれないと思ってアーサー様を連れてきたようにも思える。
勿論、アーサー様の父親のことで見届ける必要があると思ったのだろうけど……。
そして、凄く気持ちが悪い。
「リーファ、大丈夫か? 顔色が悪いぞ……」
「旦那様……気持ち悪くて……」
こんなにどす黒いモヤモヤの中、警備の人たちや高官たちもそれなりに恐怖はあるのに気持ち悪いのは私だけだった。
「リーファ様はお連れしない方がよろしいかもしれませんね」
「そうだな……」
「旦那様……」
旦那様と離れたくないけど、私にはこれ以上進めない。
旦那様にはするべきことがあるのだから、これ以上迷惑をかけられなかった。
「リーファ、ここで待っていてくれるか?」
「はい……ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「すぐに帰ってくる」
「はい、ずっとお待ちしています」
旦那様に抱きしめられていると、旦那様は陛下の部屋の警備たちに「妻を頼むぞ」と頼み、ロウさんとアーサー様を連れて陛下の部屋に足を踏み入れた。
私は部屋にすら近づけずに、離れたまま旦那様に危険はないのだろうか、と不安なままで待つしかなかった。
真っ暗な部屋を祈るように見ていると、はなし声も聞こえるが何を言っているかまでは聞こえない。
でも、部屋から溢れていたどす黒いモヤモヤが、旦那様の魔法の光で段々と薄れていくのはわかる。
「クローリー公爵のおかげでなんとか収まりそうですな……」
「すぐに陛下を診てもらえるように医師の手配を……」
「回復魔法を使えるものは控えさせています」
高官たちと警備たちは、このあとの手筈をすでに準備し始めている。
呪いに蝕まれて長くないにしても、すぐに亡くなるよりも少しでも生きて欲しいとこの場にいるものが皆そう思っている。
その時、後ろから警備たちの叫び声がした。
「ぎゃぁあ!!」
「抑えろ!!」
振り向くと、キャシー様が抑えられながら暴れている。
腕を抑えられながら倒れている警備に、周りは床から蒸気のような煙が上がっていた。
割れた小瓶に何か酸らしきものを隠し持っていたのだろう。
「クローリー夫人こちらへ!」
高官と、周りを警備に守られながら後ろに下がると、キャシー様は私に恨みを吐き出した。
目は血走り、私を道連れにしたくてこんな暴挙にでている。
「その女だけは許せない! あいつさえいなかったら上手くいったのに! 許せない!」
その恨みに呼応するように、陛下の部屋からどす黒いモヤモヤが飛び出して来た。