呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
リーファの、旦那様という声が聞こえた。
異変を察したロウが飛び出していったが、リーファはどうなっているのか。
送り火の魔法を途中で止めてしまえば、また最初からやり直しになる。
王妃は未練ばかりの妄執の塊で、素直にこの世を去ろうとしない。
そのせいで、時間がかかってしまっている。
そして、アーサー様は不思議なほど何の異変もない。
この部屋の禍々しいものに、魔力のないものでさえ、皆が恐怖するというのに……。
そして、送り火の魔法の光と共に、王妃の亡霊がかき消えた。
「アーサー様、契約書を……」
契約書があれば、また王妃の亡霊が現れるかもしれない。
この世に残してはおけないのだ。
アーサー様の持っている契約書を浄化の魔法で焼き、アーサー様の手の上で消し炭になっている。
ロウでさえ、この契約書が禍々しいと眉間にシワを寄せたのに、アーサー様は何の異変もない。
王妃はアーサー様だけは敵と認識してなかったのだろうか。
悠長に考える間もなく、リーファが心配で急ぎ廊下に出るとリーファが黒いもので覆われており、スウーッと消えて行った。
王妃の亡霊を送ったから、黒いものが消えたのはわかるが、何故リーファが狙われるのか!?
「リーファ!!」
「ガイウス様! リーファ様が!」
「何故こんなことに!? 部屋の外にいたのは王妃の残骸みたいなものだぞ!? リーファ! しっかりしろ!」
抱き上げるとぐたりとして、目を開かないどころか身体中の体温が落ちていくようだった。
「リーファ! 目を開けろ!!」
リーファに必死で声をかけると、その場に倒れている魔法の使える警備が一人眠気に抗うように必死に言った。
「クローリー夫人から……何か白いものが出て行きました。……恐らく魂魄です。魂が抜け出ていくようでした」
「間違いないかもしれません。リーファ様に黒いものが入ったようで、追い出そうと一緒に引っ張り出されたのかもしれません」
「ふざけるな! 魂が無ければ死んでしまうんだぞ!」
魂が無ければ、身体は朽ちていくだけだ!
「リーファの魂はどこだ!? すぐに戻さないと!」
周りには何の魂もない。 どれだけ見渡しても、魂らしいものはない!
人は死ねば、思い入れの深いところに行ってしまうことがある。
今、ここにリーファの魂がないなら……。
「ヘルハウスだ……リーファはヘルハウスに帰りたがっていた!」
お化けになっても帰ってくると、ジェフに伝言を残すぐらいだった。
二人で庭を歩いた時も「もし、お化けになったらここに帰って来ますね」とリーファは言っていた。
急いで帰らなければリーファの身体に魂が戻れなくなってしまう。
それよりも、魂のない身体が持たない。
「ロウ! すぐに邸に帰るぞ! 馬車をすぐに出せ! 荒くてもかまわん! 馬に強化魔法もかけてくれ! 一刻を争うぞ!」
「すぐに手配はしますが……」
「俺の馬車と早馬を出そう。それならすぐに出せる。早くリーファを……!」
陛下の部屋からでてきたアーサー様は、話を聞いていたようでそう言った。
アーサー様の手の燃えカスのようになった契約書は風に消えていくようになくなりながら……。
そして、俺の腕の中でぐったりとしているリーファをみて青ざめている。
「ガイウス……! リーファが助かるなら何でもする! 馬車はこっちだ!」
アーサー様を先頭にリーファを抱きかかえて走り出すが、今まで感じたことのない不安に襲われる。
いくら早いと言っても、この王都からヘルハウスは何日もかかる。
それまで魂のない身体は持たない。
せめて、何か変わりになるものがあれば……!
「リーファ……!」
異変を察したロウが飛び出していったが、リーファはどうなっているのか。
送り火の魔法を途中で止めてしまえば、また最初からやり直しになる。
王妃は未練ばかりの妄執の塊で、素直にこの世を去ろうとしない。
そのせいで、時間がかかってしまっている。
そして、アーサー様は不思議なほど何の異変もない。
この部屋の禍々しいものに、魔力のないものでさえ、皆が恐怖するというのに……。
そして、送り火の魔法の光と共に、王妃の亡霊がかき消えた。
「アーサー様、契約書を……」
契約書があれば、また王妃の亡霊が現れるかもしれない。
この世に残してはおけないのだ。
アーサー様の持っている契約書を浄化の魔法で焼き、アーサー様の手の上で消し炭になっている。
ロウでさえ、この契約書が禍々しいと眉間にシワを寄せたのに、アーサー様は何の異変もない。
王妃はアーサー様だけは敵と認識してなかったのだろうか。
悠長に考える間もなく、リーファが心配で急ぎ廊下に出るとリーファが黒いもので覆われており、スウーッと消えて行った。
王妃の亡霊を送ったから、黒いものが消えたのはわかるが、何故リーファが狙われるのか!?
「リーファ!!」
「ガイウス様! リーファ様が!」
「何故こんなことに!? 部屋の外にいたのは王妃の残骸みたいなものだぞ!? リーファ! しっかりしろ!」
抱き上げるとぐたりとして、目を開かないどころか身体中の体温が落ちていくようだった。
「リーファ! 目を開けろ!!」
リーファに必死で声をかけると、その場に倒れている魔法の使える警備が一人眠気に抗うように必死に言った。
「クローリー夫人から……何か白いものが出て行きました。……恐らく魂魄です。魂が抜け出ていくようでした」
「間違いないかもしれません。リーファ様に黒いものが入ったようで、追い出そうと一緒に引っ張り出されたのかもしれません」
「ふざけるな! 魂が無ければ死んでしまうんだぞ!」
魂が無ければ、身体は朽ちていくだけだ!
「リーファの魂はどこだ!? すぐに戻さないと!」
周りには何の魂もない。 どれだけ見渡しても、魂らしいものはない!
人は死ねば、思い入れの深いところに行ってしまうことがある。
今、ここにリーファの魂がないなら……。
「ヘルハウスだ……リーファはヘルハウスに帰りたがっていた!」
お化けになっても帰ってくると、ジェフに伝言を残すぐらいだった。
二人で庭を歩いた時も「もし、お化けになったらここに帰って来ますね」とリーファは言っていた。
急いで帰らなければリーファの身体に魂が戻れなくなってしまう。
それよりも、魂のない身体が持たない。
「ロウ! すぐに邸に帰るぞ! 馬車をすぐに出せ! 荒くてもかまわん! 馬に強化魔法もかけてくれ! 一刻を争うぞ!」
「すぐに手配はしますが……」
「俺の馬車と早馬を出そう。それならすぐに出せる。早くリーファを……!」
陛下の部屋からでてきたアーサー様は、話を聞いていたようでそう言った。
アーサー様の手の燃えカスのようになった契約書は風に消えていくようになくなりながら……。
そして、俺の腕の中でぐったりとしているリーファをみて青ざめている。
「ガイウス……! リーファが助かるなら何でもする! 馬車はこっちだ!」
アーサー様を先頭にリーファを抱きかかえて走り出すが、今まで感じたことのない不安に襲われる。
いくら早いと言っても、この王都からヘルハウスは何日もかかる。
それまで魂のない身体は持たない。
せめて、何か変わりになるものがあれば……!
「リーファ……!」