呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
「ガイウス・クローリー公爵様……求婚とは?」
「リーファ……君の呪いのことを聞いた」
突然の求婚に驚いた。
私は、求婚しに来たのに表情も変えず話すガイウス様に聞き直した。
「日が昇れば眠りにつくと……だから、宵闇の街に来ないか?」
「宵闇の街?」
「聞いたことはないか? 死者と生者が交わる街と言われているところだ」
「田舎からでて来たので……」
元々住んでいた田舎のことしか知らない私には宵闇の街の話は知らなかった。
わからないまま、ガイウス様の話に耳を傾けていると、ガイウス様は話を続けていた。
「宵闇の街は不思議な所で、森の奥深くにあるせいか、夜の時間が他の地域よりも長いんだ。そこならリーファも長く起きていられるだろう」
「本当ですか?」
「本当だ。宵闇の街は俺の領地だ。嘘ではない。それで……俺と結婚し、俺の邸に来ないか? ただ……」
宵闇の街に興味は出て来た。
そして、話の続きを静かに聞いていた。
「俺の邸に使用人はロウしかいない。自分のことは自分でしてもらうが、それで良ければだが……だが、結婚すればアーサー様から君を守ってやれる。クローリー公爵の名にかけて君を守ってやろう」
ガイウス様と結婚すればこの嫌な邸から出られる。
この邸から逃げられるなら、贅沢な生活なんていらないとさえ思った。
それに、表情も変えず求婚して来るガイウス様はきっと私に興味はないのだろう。
何故助けてくれるのかはわからないけど、このお話をなかったことにされては困ると思い、どうしてか聞けなかった。
そして、ガイウス様は再度求婚してくる。
「リーファ……このガイウス・クローリー公爵の妻にならないか?」
「……なります。使用人がいないなら、お料理も掃除も何でもします! だから、連れて行って下さい!」
「それは……好きにすればいいが……では、君の同意は得たな?」
「はい」
「そうか……では、今すぐに結婚をしよう」
「今すぐ……?」
同意を得た時に、ガイウス様は少しだけ横を向いた。私が同意したことに少なからず驚いたのか、変わらなかった表情がほんの少しだけ変わったのだ。
そして、今すぐとはどういうことだろう。
「婚姻登記官を連れて来ている。話が終わるまでロウが待たせているはずだ。それとも、婚姻のサインだけでも先にするか?」
ガイウス様は懐から婚姻証明書をだし、テーブルに広げた。
「本当なら、登記官の前でするのだが、心配なら先にサインだけでもするか? サインをしたら後戻りは出来ないが……」
これにサインをしたら、私は正式にガイウス様の妻になる。
アーサー様に囚われることはなくなる。
今の私の頭の中はアーサー様から逃げることしかなかった。
「します……すぐにサインをします」
私が結婚に同意を得るとガイウス様がサインをして、その下に私もサインをした。
婚姻証明書には保証人の所には陛下の名前もあった。
公爵様だから、陛下の証人が必要だったのだろうか。
そして、また懐に婚姻証明書をガイウス様はしまった。
「登記官を今部屋に呼んで来るからここで荷造りでもしてなさい」
「このまま連れて行って下さるのですか?」
「当たり前だ。その為に来た」
立ち上がり、部屋から出ようとするガイウス様を追いかけると扉の前で止まった。
「あの……ガイウス様。ありがとうございます」
助けて下さるとわかり、感謝を述べると、ガイウス様は私の手を掬うように取った。
「リーファ、これで君は正式な妻だ。もう心配はいらない」
結婚なのに誓いのキスはなかった。なかったけど、とられた手にガイウス様はそっとキスをした。
「荷造りをしてなさい」
「……はい」
ガイウス様は何事もなかったようにそのまま部屋の外に出て行かれた。
「リーファ……君の呪いのことを聞いた」
突然の求婚に驚いた。
私は、求婚しに来たのに表情も変えず話すガイウス様に聞き直した。
「日が昇れば眠りにつくと……だから、宵闇の街に来ないか?」
「宵闇の街?」
「聞いたことはないか? 死者と生者が交わる街と言われているところだ」
「田舎からでて来たので……」
元々住んでいた田舎のことしか知らない私には宵闇の街の話は知らなかった。
わからないまま、ガイウス様の話に耳を傾けていると、ガイウス様は話を続けていた。
「宵闇の街は不思議な所で、森の奥深くにあるせいか、夜の時間が他の地域よりも長いんだ。そこならリーファも長く起きていられるだろう」
「本当ですか?」
「本当だ。宵闇の街は俺の領地だ。嘘ではない。それで……俺と結婚し、俺の邸に来ないか? ただ……」
宵闇の街に興味は出て来た。
そして、話の続きを静かに聞いていた。
「俺の邸に使用人はロウしかいない。自分のことは自分でしてもらうが、それで良ければだが……だが、結婚すればアーサー様から君を守ってやれる。クローリー公爵の名にかけて君を守ってやろう」
ガイウス様と結婚すればこの嫌な邸から出られる。
この邸から逃げられるなら、贅沢な生活なんていらないとさえ思った。
それに、表情も変えず求婚して来るガイウス様はきっと私に興味はないのだろう。
何故助けてくれるのかはわからないけど、このお話をなかったことにされては困ると思い、どうしてか聞けなかった。
そして、ガイウス様は再度求婚してくる。
「リーファ……このガイウス・クローリー公爵の妻にならないか?」
「……なります。使用人がいないなら、お料理も掃除も何でもします! だから、連れて行って下さい!」
「それは……好きにすればいいが……では、君の同意は得たな?」
「はい」
「そうか……では、今すぐに結婚をしよう」
「今すぐ……?」
同意を得た時に、ガイウス様は少しだけ横を向いた。私が同意したことに少なからず驚いたのか、変わらなかった表情がほんの少しだけ変わったのだ。
そして、今すぐとはどういうことだろう。
「婚姻登記官を連れて来ている。話が終わるまでロウが待たせているはずだ。それとも、婚姻のサインだけでも先にするか?」
ガイウス様は懐から婚姻証明書をだし、テーブルに広げた。
「本当なら、登記官の前でするのだが、心配なら先にサインだけでもするか? サインをしたら後戻りは出来ないが……」
これにサインをしたら、私は正式にガイウス様の妻になる。
アーサー様に囚われることはなくなる。
今の私の頭の中はアーサー様から逃げることしかなかった。
「します……すぐにサインをします」
私が結婚に同意を得るとガイウス様がサインをして、その下に私もサインをした。
婚姻証明書には保証人の所には陛下の名前もあった。
公爵様だから、陛下の証人が必要だったのだろうか。
そして、また懐に婚姻証明書をガイウス様はしまった。
「登記官を今部屋に呼んで来るからここで荷造りでもしてなさい」
「このまま連れて行って下さるのですか?」
「当たり前だ。その為に来た」
立ち上がり、部屋から出ようとするガイウス様を追いかけると扉の前で止まった。
「あの……ガイウス様。ありがとうございます」
助けて下さるとわかり、感謝を述べると、ガイウス様は私の手を掬うように取った。
「リーファ、これで君は正式な妻だ。もう心配はいらない」
結婚なのに誓いのキスはなかった。なかったけど、とられた手にガイウス様はそっとキスをした。
「荷造りをしてなさい」
「……はい」
ガイウス様は何事もなかったようにそのまま部屋の外に出て行かれた。