【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
ふわり。
微笑んでくれる彼の姿に、思わずわたしも笑みが漏れる。
「それは良かった。ごめんね、気づかなくて」
「いえ、あの時は雫さんも急いでましたし。
改めて、播磨 双治です。よろしくお願いします」
「東山 雫です。
こちらこそよろしくね、播磨くん」
「ふふっ、相変わらず丁寧な人ですね。
……あ、そうだ。雫さんにお伝えすることが」
「……? なぁに?」
偶然落ちていた受験票を見つけて届けただけなのに、こうやって再会できたわけだし。
彼が同じクラスというのは、正直とても心強い。
「俺、実は彼岸花の幹部補佐で」
「え」
「幹部の皆さんのお手伝いをしてる、って言えばいいのかな。
幹部と幹部候補を繋いであげたり、幹部候補のことも面倒見たり……まあそんな感じのポジションで」
「、」
「幹部の皆さんはクラスが違いますから。
このクラスでもし姫に何かあれば、その時は僕がお助けします」
今みたいに、と。
言ってくれるのは、大変ありがたいことなのだけれど。
「……わたし、
そんな守ってもらうような仲じゃないわよ?」